ミシンをご使用になる前に

Notes

ミシンをより楽しんでお使いいただくために
ぜひご覧ください。

まっすぐきれいに
縫うためのポイント

まっすぐきれいに縫うためのポイント
  • ミシンの【針】が体の中心になるように座ります。
  • 縫い始める前に下糸を必ずすくいあげます。
  • 布は押え全体がしっかりと載る位置にセットします。
    上下の糸は後ろ側で軽く押さえ、縫い始めの位置に針を落とし、押え金を下げます。
  • 縫い始めの上下の糸は針の後ろで持ち、軽く引くようにして縫い始めます。
    ※糸かけなどの間違いがないか確認の為「はずみ車」を手前に回し3-5針縫います。
  • 布を送る手は軽く添えるようにし、布を押したり引っ張ったりしないでください。
  • 縫っているときは針よりも手前(押えの先端あたり)を見て操作するときれいに縫うことができます。
  • 縫い始めと縫い終わりは【返し縫い】をすると、縫い目がほどけるのを防げます。
  • 縫い終わりは【天びん】を一番上にあげてから布を引き出します。
    ミシンの糸は10~15cm残して切ります。
  • 目打ちで縫い位置を押さえ布を送りながら縫うと縫い線のふらつきを防ぎます。
    (目打ち…先端のとがった手芸道具です。縫い目をほどいたり、縫い返した生地の端を整えたりいろいろな用途に使えます。)

生地・針・糸の関係

ミシンの縫い目を作るのに「生地・針・糸」の関係がとても大きいものとなります。
はじめてミシンを使われる方は「針や糸に種類があるなんて知らなかった」とおっしゃられる方が多いですが突然起こるミシントラブルのほとんどの原因は「針・糸」です。
ミシンが動かない
  • 【生地について】
  • 薄地・やわらかい生地は、針穴に入り込みやすいため注意してください。
    →困ったときは「やわらかい布地がうまく縫えない」を参照
  • しっかりした生地、(帆布・カツラギ・和服生地等)丈夫な素材では、針が刺さりにくいため生地が重なっている箇所は特にトラブルに注意してください。上糸調子は強めに調節します。段差等で押えが傾くと、布が進みにくくなったり、針が曲がったりります。
  • ニット生地(伸縮素材)は柔らかく、ベビー服、子ども服、大人の下着、Tシャツやトレーナーなど幅広く使われています。目とびしやすい為「ニット針」に交換が必要です。
    伸縮糸を使用する際、糸のヨリによるトラブルが生じる場合があり注意が必要です。
針について
  • 【針について】
  • 針の状態が悪くなると、縫い目に大きく影響します。トラブルがある場合は新しい針に交換してください。
  • 市販の針には【家庭用ミシン針】【職業用ミシン針】があります。
    ミシンの種類に合わせて針を購入してください。
  • 品質の悪い針ではトラブルの原因となる場合があります。当社ミシンは【オルガン針】を使用しております。ミシン製造過程でも使用している針です。可能な限りこの針をご使用ください。
  • 生地によって針を変える必要があるため、ニット針、薄地用針(#11)、普通地用針(#14)、厚地用針(#16)、レザー針、デニム用針等、様々な種類の針があります。生地に合わせて針を交換してください。
    オルガン針公式通販サイト
    https://organ.ne.jp/nuimate/
糸について
  • 【糸について】
  • 糸の種類によって縫い目の状態が大きく変化します。糸調子を合わせる前にお使いの糸の種類を確認します。品質の悪い糸では糸絡み等のトラブルにつながりやすくなります。注意してください。
  • 「手縫い用の糸」と「ミシン用の糸」は糸のヨリ方向が異なります。
    ミシンに手縫い糸を使用すると故障の原因となります。「ミシン用の糸」をご使用ください。
  • 糸の素材の違い
    「ポリエステル」・・・ミシンではポリエステル糸が良く使われます。強度がありトラブルの少ない糸です。

    「ナイロン」・・・伸縮があるためニット素材等で使用します。糸の伸縮・糸のヨリによるトラブルが生じる場合があり、ご使用はお勧めできません。

    「絹」・・・天然の素材の為、製造より年数が経つと切れやすくなります。シルクを縫われる場合はポリエステル#90糸を使用します。

    「木綿」・・・天然の素材の為、製造より年数が経つと切れやすくなります。糸すべりが悪く糸の引きが重たい場合は糸を変えてください。

    ※糸の寿命は保管環境により異なります。遮光(紫外線)された環境で保管してください。
  • 糸の太さ
    糸にはいろいろな太さがあります。糸調子に大きくかかわります。

    #90 薄地で使用します。
    #60、#50 普通地~厚地で使用します。
    #30~ ステッチを目立たせる為に使います。ミシンによっては使えません。

    上下の糸は同じ種類の糸を使ってください。
    シャッペスパンミシン糸#60をおすすめしています。
    当社でミシン製造時検査等に使用している糸でトラブルが最も少ない糸です。
    株式会社フジックス公式ホームページ
    https://www.fjx.co.jp/product/detail.php?id=46

いろいろな縫いかた

縁かがりについて

縁かがりについて

まつり縫い

まつり縫い押え

ボタンホール押え

ボタンホール押え

糸調子について

本縫いミシンでは、
「下糸がからまる」ことはありません。

ミシンの下糸がからまってしまう…。このようなトラブルは、「上糸」と「下糸」の調整の勘違いが原因となっているケースがほとんどです。通常、本縫いミシンでは「下糸がからまる」ことはありません。糸掛けや糸調子の不具合でからまってしまうのは上糸なのです。布の裏側(つまりミシン下側)に出た糸がからまっているため、下糸の調子が良くないと判断されがちですが、上糸がゆるんでいるのに、下糸が引きつっていると思って下糸を調整するため、さらにからまってしまいます。
 本縫いミシンでの「理想的な縫い目」とは、布が縮まず、しっかりと縫い合わされ、上糸と下糸が互いに吊り合っている状態。普段着用されている既製服の縫い目をご覧いただくと、おわかりいただけると思います。既製服は、特定の布と糸の縫製条件に特化し、徹底的に調整された工業用ミシンで量産されているので、誰もが納得の「理想の糸調子」になっています。
 本縫いの縫い目は、針と共に布を貫通した上糸がカマに引っ掛けられた輪の中を、下糸の巻かれたボビンがくぐるように誘導され、上糸と下糸が絡み合います。あとは天秤で上糸のゆるみを取りながら布が送られて縫い目が完成します。この時、上糸と下糸にはそれぞれ縫い目を形成するのに必要な圧力がかけられ、お互いの糸締まりのバランスが保たれます。糸調子とは、この圧力を調整し、糸締まりのバランスを調整すること。糸調子を調整する基本は下糸の調子が良いことであり、下糸が縫う物に対して適正に調整されていることが重要です。

糸掛けや取り扱いを間違うと
ミシンに深刻なダメージが…。

ミシンは、工場から出荷されたままの状態であれば、下糸の糸調子はきちんと調整された状態です。箱から出して試し縫いを行ってみて、糸がからむ、縫い目が飛ぶなどの不具合がある場合は、まず、糸掛けや取り扱いの間違いがないかをご確認ください。 試し縫いで、あきらかに縫い目のばらつきや糸がからむトラブルを起こしてしまうと、その時点でミシンに深刻なダメージ(カマに傷が入ったり針が曲がったりなど)を与えている可能性があります。たとえ糸の掛け方や取り扱いを正しても、不具合が生じてしまうことも…。「買ったばかりなのに全然縫えない!」というお客様からのクレームの多くが、このような糸掛けや取り扱いの間違いが原因です。
糸掛けや天秤の方向・糸巻きの方法などは、機種によって使い方が異なります。ミシンを使いなれている方でも、初めて使うミシンにおいては、まず取扱説明書にしたがって慎重にご使用ください。
※ためし縫いは布が2枚重なる状態で行ってください。

布の縫い始めの対処について

布が針穴にくい込まないようにするには
工夫が必要です。

① 布の下に紙を敷いて縫う。

縫い始めの部分だけでもいいので、ハトロン紙など(ある程度コシのある薄手の紙)を布の下に敷き、針穴に布がくい込まないようにします。この方法は薄地が縮んでしまうような条件でも有効ですが、糸調子が変わってしまうので注意が必要です。 ※縫い終わった後、紙は破り捨ててください。

② 縫い始めの針の位置を工夫する。

  • ミシンでは針は布に刺した状態から縫い始めるのが原則ですが、針が布に刺さらず一番下がった状態から上がり始めて数ミリ動いた位置で縫い始めると、針が布を*「針穴」に押し込むのではなく、引き上げる方向にカが働く状態で縫い始めることになり、針穴に布がくい込む確率が格段に減少します。ただ、この方法は前述の「上がり始めて数ミリ動いた位置」の見極めが難しく、位置を間違えると天秤からの糸外れや糸の弛み、目飛びが発生するため多少の慣れが必要です。

    ミシンの押え金を上げた状態で針を刺してから
    押え金を下ろしてください。
    針を刺す時は必ず、
    ミシンのはずみ車(右手のハンドル)を
    手前に回すようにしてください。

③ 余り糸を引っ張る。

取扱い説明書には上糸と下糸は10cmほどミシンの後ろ側に引き出しておく様に指示されていますが、縫い始めの際に、この糸を引っ張って布送りを助けてやる方法です。この方法は布の送りがミシンの回転のどのタイミングで行われるのかということを感覚的に理解していないと、針と釜が接触するなど重大なトラブルを引き起こす原因にもなりますので②同様に多少の慣れが必要です。

  • *「針穴」について
  • 針の先の糸が通る穴を「糸穴」と呼ぶ例が多いのですが、廃止されたJIS のミシン規格ではミシン針板の針が刺さる穴を「針穴」と呼ぶように定義されていました。
    ここでは、針板のその他の穴と区別するため、定義に従って「針穴」と称しています。