私たちについて

About

アックスヤマザキ通信

織糸の硬い生地について

こんばんは
ミシンメーカーアックスヤマザキの櫃本です!

本日は、少し詳しく糸調子のお話をしたいと思います。

ミシンは上糸と下糸が絡んで縫い目を作ります。
上下の糸の強さを生地や糸の種類に合わせて調節することが必要です。
上糸と下糸の引っ張り合う強さをつり合わせると、布の中に上糸と下糸の絡み目が隠れるので上から見ても下から見ても綺麗な縫い目に見えます。

フリーハンドで描いたので汚い絵で申し訳ないですが、この様な状態ですね!
どのメーカーのミシンでも、説明書にはこの様な「糸調子の説明」が載っていると思います。

さて、ここまでは糸調子の基本です!

今日はここからが本題です。

布の種類によって、糸調子の合わせ方が変わる。。。と上記に書きましたが、理由は解りますでしょうか?

ミシンの上糸は布に一度刺さってから、釜の中を通って下糸をすくい、布の上に引き上げられます。

つまり、布の中を糸が通り抜けるときの抵抗が布の種類によって変わります。

その代表的なものとして、【合皮・ビニールコーティング生地】などがあげられます。

繊維状になっている布とは異なり、
合皮や、ビニールコーティング生地には繊維の穴が開いていない状態から縫い始めます。
針が刺さって出来た穴の中を糸が通って行くのです!

つまり、普通の生地より糸が通り抜けるときの抵抗が強くなるんですね。
その為上糸調子を通常よりも強くする必要があります。

布の上にひっぱり上げきれなかった糸が、布の裏側に溜まり絡まってしまうからです。

実は、この様な状態が見た目は普通の布なのに起きてしまう事があります!

それは【織糸が堅い】生地

下の写真の生地です。

何故か汚い縫い目ですよね。
実は、「糸調子が合わない」との理由で修理にお預かりしたミシンに
サンプルでつけていただいた生地なんですが。。。

縫い目はガタガタだし、ところどころ縫いしまりの悪いゆるんだ糸調子になっています。

「どんなに調節しても糸調子が合わない」

という状態だったんですが。。。実は

布を変えるだけで サ ク サ ク 縫えてしまいます!

何故、汚い縫い目になってしまうのか?
その原因は【織糸の堅さ】によるものでした!

まず【織糸】とは何でしょうか。。。?
布は糸が何本も縦と横に織られて出来ているのは皆さんご存じですよね。

修理士さんに、図を書いて説明してもらいました!

この様に布を作っている糸のことを【織糸】と言います。
その【織糸】1本1本が堅い糸で出来ている生地があります。
丈夫な種類の生地でキャンパス地やオックス生地等が含まれます。
この様に堅い糸で織られている頑丈な生地は。。。

そう、糸が布を通る時の抵抗が強いのです!

実はこの時の糸は、#60(標準の太さ)糸で上糸の強さを一番強くしている状態です。
それでも上糸を引き上げる力が足りず、糸が緩んだようになってしまいます。

ではこの様な場合はどうするのか?

解決方法は、糸を標準より細い(#90番)糸にします。

糸の太さが太いほど糸調子は強くします。
#60ではバランスをとれなくても、更に細い#90ならバランスもとれる場合があります。

。。。糸調子は解決したけれども。。。

縫い目がガタガタしてしまうのは何故でしょうか?

針が布に刺さる時は、布の繊維の目に入っていきやすくなる習性があります。

先ほどの写真を拡大してみました。
布の繊維の方向に対してまっすぐに縫ってあげないと

針がすぐ隣の目に落ちてしまい。。。出来上がりの縫い目が ガタガタ に見えてしまいます。

今日のまとめ
【織糸の堅い生地を縫う時の例】

糸は細めの(#90)糸にする
上糸調子は強めに設定する
生地は繊維に対してなるべくまっすぐ縫える様に
針は生地の目に入りやすいように少し細い針(11番)にする(細くなると針は曲がりやすくなりますのでご注意ください)
という事です。
あくまで、縫い方の例ですので、いろいろな条件で縫い方は変わってきます。
こういった縫いにくい生地もありますので、参考にしていただければ幸いです。

布自体が丈夫なもので、キャラクターのプリント生地等にも使われていますので
カバンを作ったり、小学校のシューズ入れなどを作るのに
使われる方も多いのではないかと思います。

本日はちょっと詳しく糸調子を掘り下げてみました。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。

それでは、また。