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アックスヤマザキ通信

ミシンの修理【垂直半回転釜】3

こんにちは。
ミシンのお店アックスヤマザキの櫃本です。
3回連続でお届けしております、【ミシンの修理レポート】も今回でいよいよ完結します!

内部全体のホコリも取り除き、
動きがだいぶ軽くなったミシンですが、次はキチンと縫えるように調整を行っていきます。

この部品は釜の中に入っている【中釜(なかがま)】という部品です。

釜の中でくるくると回転しているのですが
○で囲んでいる尖った先端の部分は、
丁度、針が下りてくるときに噛み合うように回っているのですが
針が曲がった時などに、中釜の先端部分に針がこすれて傷ができてしまうことがあります。

傷が出来ると、上糸が中釜の周りをグルっと通り抜けますので
傷に引っ掛かり糸絡み・糸切れ・糸調子の不具合等の原因となります。

「針が1度折れてから、糸調子が取れなくなってしまった。」
「布の下側で糸が絡んでしまい、縫えない。」

そういった症状はココ出来た傷が原因になっている場合があります。

でもこの写真では、傷は見えないですね。

肉眼では傷は見えませんが、実は小さな傷がありました。

見えないくらいの小さい傷でも糸は引っ掛かってしまいます。

見えなくても、指の先端で触ると ほんの少し ざらっ とした感触がありました。修理士さんに
「ココに傷があるから、新しい中釜と触り比べてみたら解るよ」

と言われて、触ってみると、ようやく解る程のかすかな傷です。
この辺を見落とさないのは、流石の職人技ですね!
素人ではなかなか気づけないところです。

そして以前にもご紹介したことがありますが、【針板(はりいた)】の部分にも
やはり針が当たった傷がありました。
ここも糸が引っ掛かってしまいますので、ヤスリで磨いて傷を取り除きます。

さて、傷・ホコリ・錆びを取り除き、組みあがったミシン。
今度は試し縫いをして、縫い目のバランスを見ていきます。

上下の糸の調子はもちろん、
左右のジグザグのバランス、布送り、etc点検個所は多数あります。

せっかく組み立てたミシンですが、中から 「ジャギジャギジャギ」と異音がしていました。

「多分、釜の中にまだ錆びか何かの引っ掛かりがあるんだね」

綺麗に磨いた釜も、まだ引っ掛かる原因があります。
目で見る限りではとても綺麗ですが、僅かな汚れや異物で全く縫い目も動作音も変わってしまいます。
ここからは目では見えないレベルでの再調整です。
職人の技術と経験がいる作業ですね。
再び釜の中を分解してヤスリで磨いて異音の原因を取り除いていきます。

微調整、試運転、微調整の繰り返しです。

そして釜にミシン用油を注いで、馴らしていくと無事に音も静かになりました!

最後に試縫いの見本を作製して

無事に修理完成です!

ミシンの故障原因はいろいろありますが、今回の1台は

使い方・保管状況・お手入れ

によって故障を未然に防げる症状がたくさんありましたのでご紹介させていただきました。
是非、お手入れをしてミシンを永くご愛用戴ければと思います!
それでは、また。

→ミシンの修理はこちらまで!