こんにちは。ミシンメーカーアックスヤマザキの櫃本です。
本日はミシン糸の種類についてのお話です。
糸の種類は気にされてる方・こだわって選ばれている方も多いと思いますが。。。
一方で、まったく気にされてない方は『色が合ってたらなんでもいい』と思われている方も多いと思います。
私も、ミシンメーカーアックスヤマザキに入社するまではまったく気にせずに使用していました。
入社後、修理部の方、技術部の方々にいろいろと教えていただき
糸を選ぶ大切さを知りました!
そこで、今回は詳しく、糸について解説していきたいと思います。
先ず、糸は『ミシン糸』と『手縫い糸』に分かれます。
何が違うのか?といいますと、糸の“より”の方向が違います。
見た目は変わらなくても【ミシン糸は左より(/)】【手縫い糸は右より(\)】となっているのが普通です。
ミシンに『手縫い糸』を使うと。。。
使えなくは無いのですが”糸割れ”が起き、糸が切れてしまう原因になったりするようです。
ミシンには必ずミシン糸を使ってください。
ミシン糸は”コマに巻かれた”もの、手縫い糸は”平たく巻かれた”ものと思われている方
結構おられるかと思いますが、手縫い糸でもコマに巻かれて販売されている物もありますので
一見では判断ができません。
きちんと「手縫い糸」「ミシン糸」と表記が入っている事を確認してください。
特に海外製の糸等は表記が分かりにくい為、
間違われて手縫い糸をミシンに使ってしまっている事があるようです。
ご注意くださいませ。
ではここからが本題です。
『ミシン糸』について
一言にミシン糸といっても材質が様々です。
今回は代表的なものを並べてみました。
手元に在った糸の為、メーカーや太さがバラバラですが、ご了承下さいませ。
これは【ミシン刺繍糸#50】です。
材質はポリエステル100%
#50というのは太さを表しています。(数字が大きいほど細い糸になります)
刺繍用の糸なので色がやはり鮮やかですね。
普通のポリエステル糸よりも”より”が強い為、ねじれやすく
糸コマからもパラパラとほどけ易いです。
このようなほどけ易い糸は、時々縫っている時に
ミシンの糸掛けから外れてしまったりすることがありますので注意して下さい。
続きまして、【ポリエステル糸#60】
ポリエステルという材質は化繊です。
化繊の糸は”綿・絹”等の糸に比べて強い材質ですので、
市販品の服等にも良く使用されている素材です。
(詳しくは下の項目で説明します)
そして#60は標準的なミシン糸の太さです。
上の刺繍糸#50よりは少し細い糸になります。
続きまして【綿糸#50】です。
表示によっては”カタン糸”と書かれてることもあります。
カタン=コットン=綿のことです
(コットンの発音がなまってカタンになったのだそうです?)
艶があり綺麗な糸ですが。。。
綿はナマモノですので、化繊の糸に比べて劣化しやすい性質があります。
紫外線・酸化などにより劣化すると、脆く切れやすくなってしまいます。
また綿の糸の中で“蝋引き”と書かれている物がありますが
これは字の通り
綿糸をロウ(ロウソクのロウです)でコーティングし光沢を出した物です。
滑らかで綺麗ですが、ロウですので熱に弱く
劣化すると絹糸よりも脆く・切れやすくなってしまいます。
そしてコチラは【絹糸#50】です。
艶やかで綺麗ですね。
手芸店で糸の棚に陳列されているのを見かけると綺麗だなぁと思います。
。。。がやはりナマモノですので劣化により脆くなりやすい素材ではあります。
よくお問合せで
「少し縫うと糸がプツンときれてしまうんです」
というトラブルを伺います。
つまり上記の様な状態のことですね。
ミシンでダダダダーーーーーッと縫っていると 突然 “ プツン ” と糸が切れてしまいます。
これは劣化して脆くなった糸がミシンの速度と糸調子に耐え切れずに切れてしまっている状態です。
どこにも引っかかっている気配がないのに糸が突然切れてしまう場合は
糸を交換して頂く事で解決する場合がありますので覚えておいて下さいね。
折角なので実際に縫ってみました。
こうして縫ってみると、そんなに材質の差は気にならないかなと思います。
シルクを縫われる方で、糸も合わせて絹糸を使っているという方がよくおられますが
糸の強度を考えると化繊の糸で縫われた方が長持ちはします。
よく使用する物や、何度も洗濯をするお洋服等を作るときは、
なるべく強度のある化繊糸を使う事をお勧めします。
せっかく作った作品が「気づいたら糸が切れてほどけてしまってる」
なんて悲しい事にはならない様にしたいですね。
薄い生地のシルクでしたら、ポリエステル糸の#90を使っていただくと
化繊糸で強度もあり、細い糸なので薄い生地にもよくなじむかと思います。
逆にデニム用のステッチ糸#20などは、家庭用ミシンでは使用できない太さです。
(糸の調子が取れず下釜に絡みこんでしまいます!)
デニム地を家庭用ミシンで縫われる際は、#50・#60等の糸をお使い下さいね。
長々となってしまいましたが、
主なミシン糸だけでも結構な糸の種類がありそれぞれに特長があります。
糸を選ぶ時は色だけでなく、材質や太さにも気をつけてみてください。
針・糸・布のバランスを合わせていただく事でより綺麗な縫い目が出来、快適に縫っていただけるかと思います。
ではでは、本日はここまでです。