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アックスヤマザキ通信

ミシンの修理【釜傷による糸絡み】

こんにちは。
ミシンメーカーアックスヤマザキの櫃本です。
本日のお話はミシンの修理レポートです。

以前にも修理のレポートはさせていただいておりますが
少しのご利用方法の差で未然に防げる故障も有りますので、
ミシンを使っていただく際の参考にしていただければと思います。
今回はより解りやすい写真も撮れましたので、一緒に掲載させていただきます。
本日の修理ミシンは「垂直半回転釜(すいちょくはんかいてんがま)タイプ」。
糸が釜に絡まってしまって縫えないという症状でした。

この症状で、原因は何が考えられるでしょうか?

この様な症状のミシンは、「釜・針板(はりいた)」などの部品に傷が入っている場合が考えられます。

糸が絡まったり、無理に引っ張って縫ってしまった場合に、
針が真直ぐに刺さらず釜や針板部分に当たってしまうことが原因です。

釜の中を開いて部品を取り出すと。。。

見えますでしょうか?
内釜の先端部分に針先で擦った傷跡が付いています。

拡大してみました。

この→でさしている部分が針の擦れた傷跡です。

ミシンの構造では、上糸が中釜にすくわれて釜の周りを通り抜ける時に下糸と絡み、縫い目が出来ます。

つまり、中釜の先端部分に傷がついてしまうと、
上糸が釜を通り抜けるときに、傷に糸が引っ掛かってしまいます。
糸が絡まったり、布を噛みこんだり、という状態の原因となります。

ミシンに釜をセットし、上から見た写真です。
(針板を取り外しています、写真が分かりにくくて申し訳ないです。)
針のすぐ後ろにさっきの傷だらけの内釜先端が見えますが、
傷の部分に糸が引っ掛かっているのが解りますでしょうか?

この様に、傷があると糸調子が乱れたり、布の裏でタオル地のような輪っかができたり、糸が絡まったり。。。と縫えない状態になってしまいます。
今回のように、傷が深くくっきりついている場合は部品を交換することで症状がなおる場合があります。
また、釜に僅かな傷や目に見えない程の細かい傷が付いていても縫い目に影響が出る場合があります。
その場合は、釜傷部分を紙ヤスリ(#400~1000)で磨く事で傷が滑らかになり糸の引っ掛かりを防ぐ事が出来ます。

原因が解らない糸絡みの場合は、釜内部のお手入れを念入りに行う事で症状が改善する場合も有りますので是非お試しください。

さて、今回の修理ミシンでは、
釜の交換で症状が治るのかと思いましたが。。。
こんなところにも傷がありました。

これは内釜を押さえてる釜蓋の上部分です。
この小さな傷、ここも針がまがったりして上から突いてしまった跡です。
こういう部分の傷にも糸が引っ掛かってしまいます。

【まとめ】
●釜等に傷がつかないようにするには、
針が曲がらないように気をつける必要があります。
段差の部分で傾いた押さえ金に当たって針がそれてしまったり、
硬い生地の場合は針が生地に負けて曲がってしまったり、
生地が送りにくい場合は布を後ろへ引っ張って縫ったりすると、
針が曲がって釜に刺さってしまいますのでくれぐれもご注意ください。

ミシンは繊細な機械ですので、
過度な負担がかかってミシンの調整が狂わない様、
優しく接していただければと思います。

それでは、また。

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